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Case
2025.07.12
【事例紹介】NPO法人チャリティーサンタ~「あなたも誰かのサンタクロースに」—市民の力で届ける希望とつながり~

 

「あなたも誰かのサンタクロースに」という合言葉のもと、2008年に20代の仲間数人で始めた市民団体「チャリティーサンタ」。クリスマスの夜にサンタクロースが家庭を訪問する活動を通じて、子どもたちに“誰かが自分を想ってくれている”というメッセージを届けてきました。

代表の清輔夏輝さんが語るように、この活動は当初から計画的に設計されたものではなく、「いいね」と共感してくれる人たちが少しずつ輪を広げ、自然発生的に“コミュニティ”として育っていったものでした。東京から始まり、次第に全国へと共感と活動が広がっていくその過程は、単なる事業展開ではなく、人と人との関係性によって成り立つ「コミュニティ型NPO」の典型と言えるでしょう。

もくじ

活動から始まったコミュニティ形成

チャリティーサンタの原点は「子ども第一主義」だったと清輔さんは振り返ります。サンタが家庭を訪問するというシンプルな取り組みの中で、次第に“届けられない家庭”の存在にも気づいていきます。経済的な事情などにより、申し込みすらできない家庭の存在。それに対して「届けられる仕組み」を模索し始めたのが、活動の第二フェーズでした。

その中で始まったのが、企業や業界との連携による「連携事業」です。2017年には書店業界と連携した「ブックサンタ」がスタート。その後も洋菓子店との「シェアケーキ」、映画業界との「シェアシネマ」など、各業界と協働しながら、困窮する家庭の子どもたちにも文化的な体験を無償で届ける活動を展開しています。

このように、チャリティーサンタは「市民が自分の得意や役割を持ち寄り、関わり合いながら社会に価値を生み出す」コミュニティとして進化してきたのです。

 

“コミュニティの課題”に直面して

順調に活動を広げていく一方で、内部には様々な課題も生まれました。特に2009年には活動が拡大する中で様々な混乱も起こり、「このままでは立ち行かない」と痛感した清輔さんたちは、初めて全国のメンバーを集めた合宿を実施。顔の見えない関係から、関係性のある“仲間”へとシフトしていくきっかけとなり、この合宿がチャリティーサンタの組織文化を築く出発点となりました。

しかし、それでも「何が課題なのかすら曖昧な状態」だったといいます。「自分たちのこんな状況や課題への解決策を提示してくれるような専門的な知見や支援はないだろうか」と探しているときに出会ったのが、NPO法人CRファクトリーの情報でした。

「当時はセミナーもなく、サイトをブックマークして毎月チェックしてました」と笑う清輔さん。ようやくセミナーが開催されるとすぐに申し込み、CRファクトリーの理念や考え方に深く共感。「自分たちのやり方は間違ってなかった」と確信したといいます。

 

はじめて合宿に来てもらったとき

初めて全国支部リーダーが一堂に集まる合宿でCRファクトリーの講座を実施したときのこと。清輔さんは「みんながCRファクトリーのコミュニティマネジメントのノウハウに“そうそう、それそれ!”と心底うなずいていた」のを鮮明に覚えています。長年支部運営に葛藤を抱えてきた各地のリーダーたちが、CRファクトリーのノウハウに触れることで、次々と言葉と感情が重なる瞬間。清輔さん自身が感じていた「だからだったんだ」という腑に落ちる感覚は、その場にいたすべての支部担当者にも共有されました。

この合宿以降、参加者から「CRファクトリーに触れて本当に良かった」という声が聞かれ、実際に合宿後のアンケートには、CRファクトリーへの賛辞や感謝の声が多数寄せられました。全国各地で孤軍奮闘していたリーダーたちが一堂に会し、コミュニティ運営に対して同じ共感と確信を抱くことができて、今後の支部運営にも希望が生まれる瞬間でした。

 

北極星のような存在—CRファクトリーとの関わり

CRファクトリーとの出会いは、チャリティーサンタにとって大きな転機でした。単なるノウハウ提供ではなく、個別の事情に応じた対話と伴走支援。支部単位での関わりや、年に一度の全国合宿への参加を通じて、清輔さんたちは「迷ったときに立ち戻る羅針盤のような存在」に出会ったと語ります。

「コミュニティ運営において、課題や不安は常にある。だけど、“これでいいのか?”と迷った時に、相談できる存在がいるというのは本当に大きい。いつもずっと居るわけではないけど、確実にそばにいてくれる存在」と表現した言葉が象徴的です。

また、CRファクトリーが行う「コミュニティキャピタル診断」も活用し始め、全国に約40箇所ある支部ごとの状態を客観的に可視化できるようになりました。支部の中には診断結果を詳細に分析して、組織づくりや支部運営に役立てているところもあります。

「コミュニティキャピタル診断」は、チャリティーサンタに関わるスタッフやボランティアたちによる”コミュニティの価値”を可視化する効果もあります。外部の学術的な研究者によって、”コミュニティの価値”が調査し続けられていることは、これからのチャリティーサンタの発展にも寄与していくことでしょう。

「冷蔵庫に貼っておきたい」ような存在へ

最後に清輔さんが語った言葉が印象的でした。

「水道のトラブルが起きたら“水の110番”に電話するじゃないですか。コミュニティのトラブルも、ああいう時に“頼れる番号”があったらいいなって。冷蔵庫に貼っておきたい存在、みたいな。CRファクトリーは、僕らにとってそんな存在なんです」

コミュニティ運営において、すべてがうまくいく瞬間ばかりではありません。だからこそ、困った時に立ち戻れる北極星のような存在、伴走者の存在が必要なのです。CRファクトリーがその存在になれているならば、それはとても光栄なことだと思います。

チャリティーサンタの活動を通じて、良いコミュニティとつながりが生み出され、多くの人が幸せになっていくことはCRファクトリーのビジョンそのものでもあります。これからもチャリティーサンタの活動を支える存在として北極星のように輝いていきたいと思います。

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